吉野川北岸地域は吉野川沿岸でありながら、大部分の地域は自然取水が不可能で、降雨量が少ないことも相まって水利条件に恵まれず、古くから用水確保に努力が払われてきました。
国営吉野川北岸農業水利事業は、吉野川水系の水資源利用の高度化をめざす、吉野川総合開発計画の一環として建設されました。早明浦ダムに農業用水を依存し、合理的な用水系統を確立するため、東西約70kmの幹線水路より地区内に導き、水利費の軽減と安定利水をはかることを目的とし着手されました。
〇国営吉野川北岸地区総合かんがい排水事業について詳細を見る国営吉野川北岸地区総合かんがい排水事業で造成された取水工、頭首工、幹線水路並びに水管理施設が、老朽化等によって機能低下が著しくなり、施設の管理運用にあたって多大な労力を要するなど用水管理に支障を来してきました。
このため本事業で施設の更新、改修を行うことにより、施設の機能の回復及び安全性を確保し、農業用水の安定的確保及び維持管理費の軽減を図り、農業経営の安定のためにこの事業を行いました。
〇国営造成土地改良施設整備事業について詳細を見る貯水量が10倍以上になった宮川内調整池(阿波市土成町)
総合かんがい排水事業で造成され、施設整備事業で改良された農業水利設備ですが、造成から30年近く経ち、経年的な劣化により用水路に漏水が生じるなど、農業用水の安定供給に支障を来すとともに、施設の維持管理に多大な費用と労力を要しています。
さらに、本地区は、南海トラフ地震防災対策推進地域の指定地域内にあり、大規模地震が発生し施設が損壊した場合には、地域に甚大な被害を及ぼす恐れがあります。 このため、本事業では、用水需要の変化に対応するとともに、施設の機能を保全するため、頭首工、揚水機及び用水路を改修し、これと一体的に、必要な耐震性を有していない施設の耐震化のための整備を行うことにより、農業用水の安定供給と施設の維持管理の軽減を図り、農業生産性の向上及び農業経営の安定のため行っています。
また、近年、裏作での高収益作物の作付けが増大しており、水稲の作付けを早める傾向にあります。代かき期では、用水需要が昼間に集中、日の需要変化に応じて用水供給するための施設(調整池等)がないため、幹線水路の中下流部で用水不足(水位不足)が発生するなど、農業用水の安定供給に支障を来しています。
営農形態の変化による用水安定供給への支障への対策として、限られた取水量の中で昼間と夜間の需給変動に対応するため、1日以内の需給バランスを調整する施設として、既に設置してある調整池2箇所を拡張し、さらに新しく調整池を2箇所建設し、夜間の無効放流及び昼間の用水不足に対処します。
〇国営吉野川北岸二期土地改良事業について詳細を見る